現在はコロナ禍の影響による健康意識の高まりから、健康効果が期待される食品にあらためて注目が集まっています。一時期ブームを巻き起こした発酵食品「麹」もそのひとつ。
当記事では、麹の概要や種類といった基本的な知識から、麹をそのまま食べる「食べる麹」の効果、食べる麹のおすすめのレシピまでをご紹介していきます。
美容・健康に良い食品に関心が高い方や、麹について詳しく知りたいとい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
麹とは?
麹とは、米・麦・豆などを蒸したものに麹菌を植え付け、繁殖・発酵させて作られたものです。発酵食品・発酵調味料・お酒などを作る際に使用される原料であり、日本の伝統的な食文化にとっては欠かせない存在となります。
麹作りに使われる麹菌は、日本を代表する菌である「国菌」として認定されています。
そんな私たちの身近にある麹ですが、特徴・種類・製造方法まで詳しく知っている方は多くはないでしょう。食べる麹についてご紹介する前に、麹の基本的な知識についてご紹介していきます。
麹の種類は3種類!特徴や違いを解説
麹と一口に言っても、麹菌を生やす原料によって米麹・麦麹・豆麹の3つの種類に分けられます。それぞれ特徴や用途が異なりますので、違いを把握しておきましょう。
- 米麹
米を蒸したものに麹菌を生やして繁殖・発酵させて作られる麹。味噌・醤油・みりんといった醸造調味料、日本酒・甘酒といったお酒、漬物などを作る際の基として用いられており、最も多く使用されている麹となります。
ブームとなった塩麴も米麹から作られたものです。
- 麦麹
麦に麹菌を繁殖させて作られる麹。香り豊かであっさりとした味わいが特徴です。小麦が一般的な麦麹の原料として用いられますが、大麦や丸麦を原料とした麹もあります。
麦麹は、主に麦味噌・醤油・麦焼酎を作る際の基として活用されます。
- 豆麹
豆を原料として作られる麹。大豆を煮て柔らかくしたものに種麹をふりかけて発酵させることで作られます。別名出麹とも呼ばれています。
豆味噌や八丁味噌といった味噌作りの基となる日本の食文化には欠かせない麹です。
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麹菌にも種類がある!5つの麹菌について解説
麹そのものだけでなく、麹を作る際に使用される麹菌にも種類があります。ここでは、5種類の麹菌の特徴や用途についてご紹介します。
- 黄麹菌
黄色・黄緑色をしており、でんぷんを分解する力が強い麹菌。国菌であるアスペルギルスオリゼーがこの黄麹菌に該当します。
味噌・醤油・みりん・清酒など、さまざまな発酵食品を作る際に用いられてる重要な麹菌となります。
- 黒麹菌
白麹菌よりも濃い褐色をした麹菌。発酵の過程でクエン酸を大量に生成することで、素材に雑菌が発生することを防ぐことができるのが大きな特徴です。
温かい地域での醸造に適していることから、沖縄・鹿児島等で泡盛・芋焼酎を作る際に用いられています。
- 白麹菌
褐色に近い色をしており、黒麹の変異から生まれた麹菌。黒麹ほどではないがクエン酸を大量に含んでいるのが特徴で、主に焼酎を作る際に用いられています。
柑橘のような独特の酸味を持つことから、近年では日本酒を作る際にも活用されています。
- 紅麹菌
紅色をした麹菌。米を発酵させる過程で鮮やかな紅色の色素を生み出すことから紅麹菌とよばれています。
紅麹菌で作られた紅麹は、中国・台湾などで紅酒・老酒・紹興酒・滋養食・薬膳料理などに多く利用されてきた歴史があります。
- 鰹節菌
鰹節を作る時に必ず必要となる麹菌。タンパク質分解酵素が旨味の主成分であるアミノ酸を蓄積させ、脂肪分解酵素が働くことで油脂が浮かない澄んだ味わいのダシが取れるようになります。
中の水分まで吸い取ってしっかり乾燥させることで、腐りにくく保存が効く状態にする効果もあります。
麹が持つ驚きの効果とは?
食べる麹が大きな注目を集めている理由は、麹には伝統的な調味料としてさまざまな料理に使用できるだけでなく、プラスアルファでさまざまな効果が期待できるためです。
ここでは、麹が持つ効果の数々についてご紹介します。
調味料としての効果
麹は、単体でさまざまな料理の味付けを行うことができる万能調味料です。アレンジレシピ等を用いて麹をそのまま食べる場合においても、麹自体に十分な旨味があるためほとんど調味料を必要としません。
食材の旨味を引き立たせたり、食材を柔らかくしたりする効果もあるため、肉や魚の下処理・下味にも活用することができます。
酵素による美容健康効果
麹には30種類以上もの酵素が含まれており、腸内環境を整えることで以下のようにさまざまな美容・健康効果が期待できます。
・栄養素の分解・消化吸収をサポート
・ビタミン生成をサポート
・免疫機能の活発化
・デトックス(毒素排出)をサポート
・疲労回復をサポート
・脂質の代謝をサポート
酵素は人間の体内で栄養の分解・運搬・合成・排出といった役割を担う重要な成分。年齢を重ねるにつれて不足しがちになるため、美容・健康を意識するのであれば積極的に補給することがポイントです。
麹に含まれる酵素により腸が活性化されることで、身体に必要な栄養を効率的に吸収、不要なものはスムーズに排出。美肌・アンチエイジング・疲労回復など美容・健康に嬉しいさまざまな効果をもたらしてくれます。
麹はそのまま食べられる?
麹は食物を発酵させる菌の一種。そのまま食べると体調を崩したりお腹を壊したりしないか気になる方も多いのではないでしょうか。
これにはまず腐敗と発酵の違いを理解しておく必要があります。
- 腐敗
微生物によって食物が分解され、身体に有害な物質を作り出す。
- 発酵
微生物によって食物が分解され、身体に有益な物質を作り出す。
同じ菌でもその役割によって上記2種類に分けられます。麹菌は後者であり、身体に毒素を排出しないため、そのままでも安心して食べることができます。米麹・麦麹・豆麴いずれの種類の麹もそのまま食べることが可能です。
麹をそのまま食べるレシピ3選
麹がいくら美容・健康に良いといっても、本当にそのまま食べるのはちょっと味気ないですよね。そこでここでは、食べる麹をよりおいしくいただくための厳選レシピを3つご紹介します。
一手間かけるだけで麹をおいしく食べることができますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
納豆麹
納豆麹とは、麹と納豆をブレンドして味付けをした食べ物です。麹と納豆は同じ発酵食品同士で相性抜群。納豆菌との相乗効果でヘルシーさも増します。
■材料
米麹:50g
納豆:1.5パック
醤油:大さじ2
みりん:大さじ2.5
ごま:大さじ1
■作り方
1.ボウルに麹を入れてよくほぐす
2.納豆を加えてよく混ぜ合わせる
3.醤油・みりん・ごまを入れて混ぜる
4.冷蔵庫で30分ほど寝かせれば完成
納豆と同じようにご飯に乗せて食べても十分美味しいのですが、うどん・そばの薬味にしたり、料理のトッピングにしたりしても美味しくいただけます。
キムチ麹
麹は、韓国の発酵食品の代表格であるキムチとも相性抜群です。キムチと麹を混ぜるだけで作れますので、ぜひチャレンジしてみましょう。
■材料
生米麹:100g
キムチ:360g
■作り方
1.麹とキムチをボウルに入れてよく混ぜ合わせる
2.ボウルにラップをかけて冷蔵庫で30分程度寝かせれば完成
そのまま食べることもできますが、冷蔵庫で寝かせた方がキムチの味が麹に馴染んで美味しさ・旨味が増します。
食べる甘酒
食べる甘酒は、炊飯器で簡単に作ることができます。飲む点滴とも例えられる栄養満点でヘルシーな甘酒を自宅で作ってみましょう。
■材料
白米またはもち米または玄米:1合
乾燥米麹:200g
水:4合
■作り方
1.白米を研いで1時間程度水に浸す
2.炊飯器でおかゆモードにして焚く
3.60度程度までおかゆを冷ます
4.米麹を加えてかき混ぜる
5.炊飯器の蓋を開けたままふきんをかけて8時間保温する
6.味見をして甘みが感じられたら完成
食べる甘酒はそのまま食べても美味しくいただけますが、凍らせてアイスのようにして食べたり、豆乳で割って飲んだりといったアレンジを加えてみるのもおすすめです。
まとめ
麹の基本的な知識から食べる麹の効果までをご紹介してきました。麹は日本の食文化に欠かせない発酵食品・発酵調味料・お酒を作る基となるだけでなく、栄養素が豊富で美容・健康の面でさまざまな効果が期待できます。
食べる麹に興味を持った方は、ぜひこの機会に美味しくてヘルシーな麹を毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。